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今回のフレーズは・・・
アメリカドラマ「パーソン・オブ・インタレスト」からの言葉です。
I’ve learned my lesson. It’s entropy, Lionel, decay. We save someone, they’ll still lose, just tomorrow, not today. And I know that now, same as I know you’ll probably go back to be a corrupt piece of garbage. Water finds its level.
出典:POI-0312-1555
(Person of Interest Season 3 Episode 12, 15:55)
きになるのは、Water finds its level.
なにそれ?
どんなシチュエーションでのセリフかと言うと
リースが愛する人を救えずすねてしまった時に、相棒の警官ライオネルに話した言葉です。物理学のエントロピーで哲学を語っています。
わたし的に訳すと:
「俺は学んだよ。エントロピー(entropy)なんだよ。ライオネル、崩壊(decay)ってことだよ。俺らは人を救う。でも彼らは結局亡くなる。ただ、今日じゃなくて明日になるだけだ。今それがわかったよ。あなたも汚職警官に戻るかもしれないしね。水は低きに流れるのさ。」
つまり、ここはネガティブな意味です。
わかりやすく言い換えれば:
「水が低い所に流れていくように、あなたもかれも堕落するし、死ぬ。」
物理学的に宇宙全体は崩壊へと向かっているので、
ものはいずれ朽ちる、人はいずれ死ぬ、
人もほっとけばどんどん堕落する。
そういうネガティブな使い方。
ほかの使い方もありますよ(二つ目の意味)
Water finds its level にはいろんな変形があります:
- Water seeks its own level
- Water finds its own level
- Water will find its own level.
「類を共を呼ぶ」として解釈されることがあります。これはニュートラルな意味で、高いレベル同士で集まることも、低いレベル同士で集まることも含まれています。
Random House Dictionary of America’s Popular Proverbs and Sayings
WATER SEEKS ITS OWN LEVEL / WATER FINDS ITS OWN LEVEL / WATER WILL FIND ITS OWN LEVEL, ETC: People tend to rise or sink to their level of competence [[or comfort]]; we usually find ourselves among people who are much like ourselves. [[ “birds of a feather flock together”]].
もう一つさらに超越した使い方(三つ目の意味)
Water finds its own level.
文字通りには、「水はおのれの高さを求める」。
日本語は「水は低きに流る」と訳されるそうです。
原典は孟子の「水の低きに就く如し」だと言われています。
出典:http://www.wa.commufa.jp
英語からそれますが・・・
原典を見てみましょう
『人性向善,犹水就下告子曰:“性犹湍水也,决诸东方则东流,决诸西方则西流。人性之无分于善不善也,犹水之无分于东西也。”孟子曰:“水信无分于东西。无分子上下乎?人性之善也,犹水之就下也。人无有不善,水无有不下。今天水,搏而跃之,可使过颡;激而行之,可使在山。是岂水之性哉?其势则然也。人之可使为不善,其性亦犹是也。”
出典:《孟子》的《告子章句上》
つまりどう言う意味だ?
「水が自然と低いほうに流れるように、人は安易な方を選びがちである」という風に解釈することもできますが、『孟子』の原典の意味はいたってニュートラルです。水が自然と低い方に流れるように、人の善の性質も自然なことだと言っています。水の性質自体激しく流れることも、大波になることがなく、外力を加えられたときにそうなるだけです。
つまり・・・
そもそも人の性質に善と悪がなく、環境に影響されてどうにでもなる
と言うことです。
孟子は性善説で知られていますが、ここでは善悪を超越しています。
深い。